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仙腸関節の構造と機能について(医学専門用語あり)

  • aokiseitai2020
  • 8月28日
  • 読了時間: 2分

 仙腸関節は仙骨の耳状面と腸骨耳状面との間にできる関節で、体幹と下肢をつなぐ関節である。両腸骨の間に楔型である仙骨を打ち込んだ格好で骨盤輪を構成し、強固な安定性をもち体幹と大腿骨双方向の間の荷重伝達を効率的にしており、体幹や下肢の運動に伴って仙腸関節での運動が起こる。

 関節面である耳状面は、第1仙椎棘結節から第3仙椎棘結節の高さに位置し、傾斜や捻じれによる複雑な形状をしていて、その表面は細かく凹凸不規則である。仙骨耳状面は凹で硝子軟骨、腸骨耳状面は凸で繊維軟骨に覆われており、滑膜関節となっている。

 仙腸関節は半関節に分類され、周囲の靭帯などにより強固に連結されることもあって、その運動範囲はきわめて少ない。後方は強靭な靭帯組織(後仙腸靭帯や骨間仙腸靭帯)が付着し仙骨の後方への動きを腸骨と共に制限している。前方は薄くて弱い靭帯(前仙腸靭帯)が付着しており、仙骨の前方への動きを制限している。前仙腸靭帯は坐位では仙骨の後下方への制動として緊張し、その状態で後方から衝撃を受けると損傷を受けやすい。

 腸骨に対する仙骨の動きは、左右の関節面が対称的に動く場合と非対称に動く場合とがある。仙骨が前方屈曲すると仙腸関節の関節内運動は後下方へ滑り、後方屈曲すると後上方へ滑る。仙骨が右回旋すると関節内運動は右側は後方へ滑り左側は前方へ滑る。仙骨が右側屈すると関節内運動は右側は前方屈曲を伴う下への滑りをし、左側は後方屈曲を伴う上への滑りをする。体幹の屈曲に伴って仙骨は腸骨に対して後方屈曲し、関節内運動は後上方に滑り骨盤は前傾する(下行性運動連鎖)。体幹の伸展では反対の動きをする。体幹の右回旋では右の仙腸関節の背部側に傾斜の動き(関節の遊び)がみられる。大腿骨に内旋力がかかると腸骨は前方屈曲、仙骨は後方屈曲し、仙腸関節の関節内運動は後上方に滑り、骨盤は前傾する(上行性運動連鎖)。一方、大腿骨に外旋力がかかると関節内運動は後下方に滑り、骨盤は後傾する。立位で右の大腿骨が屈曲すると骨盤は後傾、右挙上、左回旋とともに脊柱の屈曲、右側屈、右回旋する。また右の大腿骨が伸展すると骨盤は前傾、右挙上、右回旋とともに脊柱の伸展、右側屈、左回旋する。このように同じ左足で床反力を受けても下肢の動きによって脊柱への力の伝達が変わるのは仙腸関節のわずかな関節運動によるものである。

 

参考文献

片岡寿雄、4D-CTで解き明かす関節内運動学、南江堂

建内宏重、股関節 協調と分散から捉える、ヒューマンプレス

 
 
 

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